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2010 年度 実績報告書

中国残留孤児の老後の実態に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 20530540
研究機関明治大学

研究代表者

鍾 家新  明治大学, 政治経済学部, 教授 (10281552)

キーワード中国残留孤児 / 中国人養父母 / 老後生活 / 生活保護 / 年金 / 支出 / 死の受容 / 孤独
研究概要

平成22年度の繰越の科研費で、中国人養父母の老後生活の実態を中心に調査研究を行った。主につぎの項目について聴き取り調査をした。中国人養父母の、<1>家族構成、<2>住居、<3>家賃の支出状況、<4>年金収入の有無、<5>残留孤児からの仕送りの有無、<6>飲食費など支出の実態、<7>孤独の実態、<8>墓など死の受容の実態。
つぎのことが明らかにされた。中国人養父母のうち、自分の産んだ子どもがいる人は残留孤児が日本へ帰国してから、老後の状態が相対的によい。また、自分の産んだ子どもいなく残留孤児を老後の支えとして期待した人は老後の状態がよくない。会社など勤務先の社宅や自宅で生活している人はほとんどである。子どもや孫の家族と同居しているケースもある。家賃を払っている養父母はほとんどいなかった。本人の「退休金」という年金か遺族年金が収入源になっている。日本に帰国した残留孤児自身の生活が緊迫していることなどが原因で、養父母に定期的に仕送りをしている残留孤児は少ない。養父母のうち、残留孤児からの仕送りをしてほしいと言い出した人はいなかったが、日本帰国後の残留孤児との交流がほしいと願っている人が多い。
日本に帰国した残留孤児たちの多くは日本語をうまく話せないことなどが原因になり、就労状況が不安定で、生活保護をうけざるをえなかった。養父母に仕送りをすることができる状況ではなかった。養父母や中国の家族と連絡を絶ってしまった残留孤児が多い。養父母の立場からみれば、残留孤児に遺棄された感がある。自分の産んだ子どもがいる養父母は残留孤児と会いたいし、自分の産んだ子どもがいない養父母は老後の精神の頼りがなく、孤独な状況に陥っている。残留孤児の人生だけではなく、養父母の人生も翻弄されている。養父母のうち、残留孤児を育てたこと自体が間違った選択ではなかったかと自己憎悪に陥っている人もいる。本調査によって、これまでの研究では明らかにされていない中国人養父母の老後の実態が明らかにされた。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] 中国残留孤児帰国過程及生活的重建2011

    • 著者名/発表者名
      鍾家新
    • 雑誌名

      客家與多元文化(日本国際客家文化協会編集)

      巻: 第6期 ページ: 229-263

    • 査読あり

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公開日: 2013-06-26  

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