保護雇用政策により日本の障害者就労支援は長い間制度によって守られてきた。工賃アップや雇用率制度の改善を図るには大胆な展開が必要と感じ、ソーシャル・ビジネスの理念と協働セクターの考えのもとで本研究は進めてきた。「社会的就労組合」という組合法での法人格化をねらい2年が経過した。1)社会福祉機関、民間企業や団体、そして大学などの教育機関との三者連携を図る構造(体制作り)では、フランス鴨を活用した取組みでは会の強化とネットワークの拡大を図った。連携の会議が発足し財源基盤を整えた。この会の役割やあり方を社会的就労組合の中に組み込んでいく準備がこの2年間で整った。2)付加価値の高い物品を販売加工育成できる物に着目する(商品開発)では、高級食材のフランス鴨と希少価値のある奈川そば(手刈り)を活用して、障害程度との作業のマッチングを図りながら、販路の確保を試みた。商品開発においては、まず売れること。そして、障害者就労によってさらに商品のクオリティが高まることが鍵である。1)でのネットワークを用い形になりつつある。3)ソーシャルワーカーの役割を高める(人材)では、セミナーの実施で啓蒙活動を行い、一方では実習などの実践を通じて新たな専門職の役割を認識できるようになった。今期イタリアの協働組合法を視察したが、法的な整備がなされその根拠で就労支援が存在するレベルからすれば、日本の現状は弱くソーシャルワーカーとてインセンティブは低い。最終年度の研究では、人材の在り方を高めることに繋がる、社会的就労組合をモデル的に存在させることが取組みの中心になるであろう。
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