1.資料の収集・検討 沖縄県立図書館郷土資料室所蔵の各地の地域資料や文献、沖縄県公文書館所蔵の戦後史全般にわたる資料や文書にあたるとともに、戦後沖縄行政発足の地うるま市では戦後初期の資料、県立看護大学では公衆衛生看護婦に関する資料など個別具体的な情報を収集した。 沖縄県南城市役所、長野県佐久穂町役場、佐久総合病院など行政・専門機関が保管している文書や活動記録の入手にも努め、行政の施策や住民活動の背景・基盤解明の手がかりを得た。 2.当事者・関係者からの情報収集と実態調査 沖縄県南城市において、健康づくりの現場で活動の実態を把握するとともに参加者の方々に聞き取り調査を実施した。その内容から、行政のモデル事業が専門職の支援のもとで住民による主体的活動へと発展し、住民相互の社会関係を創出していることが読み取れた。 さらに、戦後初期から地区活動を担ってきた方々ヘインタビューを行い、暮しの実情や住民同士のつながり等について情報を入手した。人々が生活の中で深めてきた互助関係が現在の健康づくりに活かされていることが分かり、ヘルスプロモーションが地域づくりと重なる様子が浮き彫りになった。 長野県佐久地域では、佐久総合病院が保健・福祉の住民リーダー育成を目指して設立した「佐久地域保健福祉大学」と卒業生の同窓会活動について、実践記録収集と聞き取り調査を実施した。 20年間の活動の中で、活動主体が専門職から住民へと移行しつつある状況が明らかになった。 3.今後に向けて 現在、沖縄県南城市と長野県佐久地域を中心に資料の収集や調査を進めているが、そこで展開されている地域保健活動を相対化し、コミュニティ・エンパワメントに関する考察を深めるために、今後は周辺他地域の状況にも目配りしていく予定である。
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