1.資料の収集・検討 沖縄県公文書館において、戦後史全般にわたる資料や沖縄各地の地域情報を収集した。また沖縄県立図書館では、那覇市にある本館の文献・資料に加えて、宮古島と石垣島にある分館に所蔵されている独自資料にあたり、地域の保健活動の実態に迫る一次資料を入手することができた。 宮古・八重山・奄美諸島では、市役所・町役場・保健所など行政・専門機関を訪ね、保管されている文書や実践記録の収集に努め、地域に根ざした施策や住民活動の実態解明の手がかりを得た。 2.当事者・関係者からの情報収集と実態調査 沖縄県宮古島市、石垣市、竹富町および鹿児島県奄美市において、NPO法人スタッフ、役場職員、保健師など健康づくり事業に携わる方々に対してインタビューを行い、地域ごとに異なる生活や住民組織に対してどのようにアプローチしているのか具体的にご教示いただいた。 また、自治体の事業とかかわりをもつ住民グループや健康教室に参加している受講者から、それぞれの生活の中で健康づくりの実践がどのように展開されているかをお聞きし、行政や専門機関の主導で開始された諸活動が地域の社会関係の中で定着していく過程を把握することができた。 3.今後に向けて 沖縄は戦後27年間米軍の占領下にあり、その史実が地域保健活動に与えた影響を検討することは、コミュニティ・エンパワメントの考察に欠かせない。今後は、沖縄本島とともに占領された宮古・八重山・奄美諸島における実地調査を進め、各地域が相互に連関しつつ独自の活動を形成していく動きを検証していきたい。
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