社会福祉施設においては、地域住民の社会福祉に対する意識を向上させ、福祉活動への参加を推進し、「共に生きる」社会を実現させるためにも、ボランティアコーデイネーターの専門性を高める研修の体系化されたプログラムへの必要性が高まっている。ボランティアコーディネーターの研修については、全国社会福祉協議会全国ボランティア活動振興センターが1996年、社会教育主事等のボランティア活動推進著を対象とする「ボランティアコーディネーターの養成・研修のあり方とプログラム試案」として提示しているが、対象者は社会教育関係者であり、社会福祉領域のボランティアコーデイネーター対象のものではない。また、プログラム試案は10年前のものであり、社会福祉協議会や社会福祉施設に期待される機能が多様化する現在のプログラムに汎用されるとはいいがたい。 本研究では、地域におけるボランティア活動推進の役割を担うボランティアコーディネーターの資質向上のためにどのような内容の養成・研修プログラムが求められているのか、プログラムのなかで何を強調しなければならないのかを、三重県社会福祉協議会主催のボランティアコーディネーター養成講座の事例とその評価を通して明らかにすることを目的とする。これまでの研究によって、ボランティアコーディネーターが抱える課題は(1)ボランティアプログラムに関する課題、(2)ボランティア募集に関する課題、(3)ボランティアへの継続的な支援に関する課題が明らかになった。それを踏まえて、ボランティアコーディネーター養成講座の構成要素として、a)ボランティアコーディネート概論、b)対人援助技術の習得、c)ボランティアプログラムの企画・立案、c)ボランティア活動の評価、が必要となることを明らかにした。特に、ボランティア活動を推進し、ボランティアを育成する立場として評価やスーパービジョンに重点を置く内容を目指すものが求められることを明らかにした。
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