(1)福祉の準市場化(quasi markets)をめぐる内外の研究者の主張に関して理論的整理を行うとともに、わが国の準市場化の実際について、介護保険・障害者福祉・保育制度・地域福祉の諸領域の政策動向を対象に検討を進めた。また、福祉契約制度の法的問題と権利擁護制度についても分析を加え、さらに実態に即して検討するために、東京都足立区の成年後見制度と権利擁護事業の現状について実務担当者(足立区職員等)に聴き取り調査を実施した。介護保険制度の創設に始まる「社会福祉基礎構造改革」は保育制度改革で一応の区切りを迎えようとしているが、その政治的財政的意味を把握しようとする課題関心にもとづく作業であった。 (2)介護事業者の動態調査については、介護保険事業の参入事業主体(営利・非営利法人)を区別してその動向を把握するとともに、事業手法、ケアの質の担保、事業評価システム等に留意しながら、各種情報と先行研究のサーベイを行った。また、エリアスタディとして、東京都「足立区介護サービス事業者連絡協議会」の予備調査として、同会傘下の各事業所への訪問聴き取り調査を行った。また、その際、2009年度の介護保険改定の改定が在宅サービス事業者に及ぼした影響についても聴き取り調査を行った。 (3)韓国の福祉NPO調査については、同国の社会的企業育成法の対象となる「社会的企業」の資料調査を行い、現地研究者の来日に合わせてレクチュアーを受けたか、現地調査は準備と日程上の都合によって来年度に延期することにした。
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