本研究は稼働年齢の貧困層に対する対策・支援のあり方を提起することを目的に、京都市をはじめとするいくつかの地域・施設で調査を行った。そのうち施設入所など居宅保護以外の措置がなされたホームレス者のケース分析を行ったところ、「無断退所」が約半数を占め、再野宿化のリスクが高い状況が確認された。また就職先を確保したホームレス者への調査では、約半数が生活保護基準未満の低賃金である現状が明らかになった。ホームレス脱却後においても不安定な労働・生活環境の者が多い実態が確認され、安定した生活を継続するために労働環境の改善、失業や低賃金への社会保障制度の適用拡充、公的就労など総合的な諸対策が必要である。
|