2009年度は、水俣学現地研究センター(水俣市浜町)を研究拠点にして水俣在住の患者・患者家族、未認定患者への聞き取りを行った。その中でも、「光の当たらない」在宅胎児性水俣病患者へのアプローチおよび患者家族へのインタビューを継続することができた。 第一に、2009年度は水俣病救済に関する特措法など救済に関する制度の変容があり、混迷を極める中、胎児性・小児性水俣病世代に関しては、なんら検討されていないため、認定患者のみならず、未認定患者まで視野を広げ、胎児性患者の問題の多様性と福祉的ケアの課題を焦点化の重要性が明らかになった。 第二に、特にこれまで日常生活状況を知っているのは家族とごく一部の支援者にしか明かされていなかった在宅の胎児性・小児性患者の患者家族へのインタビューを継続できたことは、生活実態の明確化と福祉ニーズを把握する上で意味が大きかった。 第三に、今年度は、「胎児性・小児性患者等の地域生活支援事業」など制度の検証も、継続的に調査することが出来た。2009年度国会を通過した特措法、裁判の和解など大きな動きがあったため、2010年度も国会や裁判の和解の動向も踏まえ詳細な調査を行う。
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