本研究は、災害時の福祉マンパワーの活用について、大規模災害時に避難行動や生活継続性に困難をきたす災害時要援護者支援の視点から探究するものである。福祉・看護・歯科衛生3学科で構成されている本学小鹿キャンパスを拠点に、発災直後の緊急避難期から復旧・復興生活期に至る長期の災害プロセスにおいて、福祉マンパワーの持つ専門性や他分野連携を最大限に発揮して被災者支援を展開するための多層的な地域防災ネットワーク・システム構築のあり方を検証・提言することを主要目的とする3か年の研究である。研究助成初年度の平成20年度は、多層的ネットワーク支援を本学拠点に展開するための基盤整備及び基礎研究を行った。第1次ネットワーク(地域住民主体の見守り・緊急支援ネット)の基盤研究では、社会福祉協議会や地域包括支援センター等との協議により、その支援内容や方法等について考察した。第2次ネットワーク(保健・医療・福祉専門職主体の専門的支援活動ネット)の基盤研究では、静岡市駿河区福祉ネットワークとの協議により、その連携方法や課題等について検討した。第3次ネットワーク(公的・広域的な行政支援・広域支援・特殊支援ネット)の基盤研究では、行政やNPO団体との協議により、公的・広域的支援の現状や課題を明確化した。防災福祉拠点化活動の研究では、小鹿地区5自治会・自主防災組織代表者との懇談会開催や地域住民対象の本学地域防災懇話会の開催により地域住民の災害に関する意識やニーズを把握、学生との協働による小鹿地区避難所避難ルートマップや携帯電話を活用する災害用伝言版サービス・緊急地震速報ガイドブック作成などを行った。また、災害関係図書などの文献研究、研究テーマに関する学会・フォーラムの参加、防災対策に先駆的・実践的に取り組む神戸地区及び石巻市の現地調査を実施した。
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