研究概要 |
本研究は、マクロデータ及び質的データを用いた介護保険制度の執行過程に関する包括的研究である.本研究課題の具体的実施項目は(1)マクロデータを用いた自治体間介護保険制度執行格差の検討,(2)自治体の政策過程の検討.(3)自治体と事業者・専門職の関係の検討を実施した.(1)については、東京都23区の介護保険料規定要因として介護保険施設の種別との関連を調べた.(2)については、東京都23区における第3期介護保険事業計画策定委員会の体系的な傍聴を実施し、施設サービス供給に関わる自治体裁量の変化を確認した.(3)については,10名の居宅介護支援専門員に対してヒアリングを実施し、居宅介護支援業務を通じた自治体毎の違いを検討した.これらの結果から、ナショナルプログラムである介護保険制度のアウトカムは執行者である自治体(保険者)間で差異を生じていること、そしてその差異が自治体の裁量と自治体の既存資源によって影響を受けている可能性が示唆された.来年度は、本結果を踏まえて、自治体による執行パフォーマンスの事業者・専門職への影響に関する質的研究及び保険料に関する分析を継続し、自治体(保険者)の制度執行過程・構造に着目したパフォーマンス規定要因の検討を行う.
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