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2011 年度 実績報告書

心理臨床場面における対話の構造

研究課題

研究課題/領域番号 20530569
研究機関京都大学

研究代表者

桑原 知子  京都大学, 教育学研究科, 教授 (20205272)

研究分担者 大山 泰宏  京都大学, 教育学研究科, 准教授 (40158407)
吉川 左紀子  京都大学, こころの未来研究センター, 教授 (00293936)
小森 政嗣  大阪電気通信大学, 情報工学部, 教授 (60352019)
神村 栄一  新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (80233948)
長岡 千賀  京都大学, こころの未来研究センター, 研究員 (00609779)
キーワード臨床対話 / マクロ的構造 / ダイナミクス / 非言語的行動 / 定量的分析
研究概要

対話は,言語・非言語行動による二者間のコミュニケーションであり,各自のもつ情報を相手に伝えることや,話題に対する感情や評価を相互に伝え合い共有することに加え,新しい問題解決法を思いつく,新たな自己認識・他者認識に至る,といった創造的・発見的な機能も有している.中でも,心理臨床面接における対話(以下,臨床対話と記す)は,自己認識や他者認識,問題解決法の発見等の機能を十全に発揮している例であり,大きな社会的影響を持つ重要かつ貴重な研究対象といえる.本研究は,社会心理学と認知心理学のアプローチの融合によって,臨床対話の構造,およびそのダイナミクスを実証的に明らかにすることを目的とする.
本研究は,日常の対話と臨床対話との比較に主眼を置く.臨床対話が,日常の対話との比較においていかなる特徴を持ち,どのような社会的影響が作用しているかを,実証的検討によって明らかにすることを目的とする.このため本研究では(1)臨床対話のマクロ的時系列構造,(2)ミクロレベルの情報処理のダイナミクス,の2つの観点から検証を行う.平成21年度までは,深層心理学的アプローチによるカウンセリングおよび一般的な悩み相談を複数事例収録し,対話中の発話と沈黙,カウンセラーの相槌的表現,身体動作,および瞬目を分析し,カウンセラーと非カウンセラーの明瞭な差異を示す結果を得た.さらに非言語行動と発話内容を対応付けることにより,カウンセリング対話のダイナミックな構造を見出した.
22~23年度には,深層心理学に加えて認知行動療法を取り上げた.両者は,その人間観や心理療法観においても異なるところが多く,対極にあるものとして扱われることが多いためである.両アプローチによるカウンセリング対話における,カウンセラーの視線や発話と沈黙,身体動作を分析した結果,アプローチ間の相違が示された.一方で,カウンセラーによるセッションの進め方には,共通性がいくつも見られることが示唆された.今後,カウンセラーの内観を詳細に検討することにより,心理臨床場面の対話の構造について考察する.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

上述の「研究実績の概要」で述べたように,本研究は,最初2年間のうちに非言語行動について詳細な検討,続く2年間に異なる学派を含めた検討を進めており,最終年度である今年度は,最終的な詳細な検討をする段階にある.研究成果の発表もこれまでに行ってきているのに加え,今年度はより積極的に国内・国際学会誌で成果報告するとともに,1冊の書籍で成果を発信することを計画している.したがって,本研究はおおむね順調に進展していると言える.

今後の研究の推進方策

本年度は,非言語的行動の定量的データと,クライエントとカウンセラーの発話や内観との対応をより詳細に検討する.このことにより,上手な聴き手のもつ特性,ならびに,話し手のこころの変化のプロセスに関して考察を深める。
本年度は最終年度であり、これまでの一連の成果を統合し、国内・国際学会誌に投稿するとともに、1つの書籍として公開することをめざす。本研究グループはこれまで約7年間にわたり本研究テーマに取り組んでおり,異分野の研究者からも関心を寄せられる成果を出してきた.これから1つの書籍に成果を統合することにより,共感性および対話に関する多角的な理解を発信することを目指す.

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 心理臨床初回面接の進行-非言語行動と発話の臨床的意味の分析を通した予備的研究-2011

    • 著者名/発表者名
      長岡千賀・小森政嗣・桑原知子・吉川左紀子・大山泰宏・渡部幹・畑中千紘
    • 雑誌名

      社会言語科学

      巻: 14(9) ページ: 188-197

    • URL

      http://ci.nii.ac.jp/naid/110009509349

    • 査読あり
  • [学会発表] ワークショップ:カウンセリング対話を科学する(5)-学派による相違と共通性2011

    • 著者名/発表者名
      左紀子・小森政嗣・長岡千賀・渡部幹
    • 学会等名
      日本心理学会
    • 発表場所
      日本大学
    • 年月日
      2011-09-17
  • [学会発表] 心理療法で何がおこっているのか(3)学派による違いに着目して2011

    • 著者名/発表者名
      桑原知子・大山泰宏・畑中千紘
    • 学会等名
      心理臨床学会
    • 発表場所
      福岡国際会議場
    • 年月日
      2011-09-04
  • [図書] カウンセリング対話における「聴き方」(子安増生・杉本均編,幸福感を紡ぐ人間関係と教育)(担当・共著範囲:100-116)2012

    • 著者名/発表者名
      長岡千賀・吉川左紀子
    • 総ページ数
      244
    • 出版者
      ナカニシヤ出版

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公開日: 2013-06-26   更新日: 2014-09-19  

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