研究課題
対話は、言語・非言語行動による二者間のコミュニケーションであり、各自のもつ情報を相手に伝えることや、話題に対する感情や評価を相互に伝えあい共有することに加え、新しい問題解決法を思いつく、新たな自己認識や他社認識に至るといった、創造的・発券的な機能も有している。なかでも、心理臨床面接における対話(以下、臨床対話と記す)は、自己認識や他者認識、問題解決法の発見等の機能を十全に発揮している例であり、大きな社会的影響を持つ重要かつ貴重な研究対象といえる。本研究は、社会心理学、認知心理学、臨床心理学のあぷろーひの融合によって、臨床対話の構造およびそのダイナミクスを実証的に明らかにすることを目的とする。本研究は、日常の対話と臨床対話との比較に主眼を置く。臨床対話が、日常の対話との比較においていかなる特徴をもち、どのような社会的影響が作用しているかを、実証的検討によって明らかにされる。本研究では、(1)臨床対話のマクロ的時系列構造(2)ミクロレベルの情報処理のダイナミクスの二つの観点から検証をおこなう。21年度までは、深層心理学的アプローチによるカウンセリングおよび一般的な悩み相談を複数事例収録し、対話中の発話と沈黙、相槌的表現、身体動作、瞬目を分析し、カウンセラーと非カウンセラーの明瞭な差異を示す結果を得た。23年度には、深層心理学派とは多くの点で異なるとされる認知行動療法を新たに取り上げた。カウンセラーによるセッションの進め方には、両学派の差異性とともに共通性がみられることが明らかにされた。これらを踏まえ、24年度には、これまでの研究で分析対象とした非言語的行動に、カウンセラーとクライエントの発話内容や内観の詳細な分析を対応させて検討を行った。結果に基づき、心理臨床場面での対話の構造について考察をおこなった。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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