研究課題/領域番号 |
20530570
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
田中 共子 岡山大学, 大学院・社会文化科学研究科, 教授 (40227153)
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キーワード | ソーシャルスキル / 在日留学生 / 異文化接触 / 異文化間教育 / 異文化間ソーシャルスキル / AUC-GS学習モデル / 心理教育 / 混合クラス |
研究概要 |
1.在日留学生対象とした異文化間ソーシャルスキル学習の心理教育的セッション 在日外国人留学生の小集団に対してセッションを実施し、セッション内の反応を測定した。一年後のフォローアップを行い、スキルの般化と異文化適応の状態を尋ね、異文化接触への態度を調べた。その結果、セッションにおける気づきの獲得、自信や意欲の向上が確認され、その後の異文化接触の態度に肯定的な影響がもたらされていた。個人を対象としたセッションとフォローアップについても、試行の成果について検討した。 AUC-GS学習モデルに基づいた、パッケージプログラム構成を取った場合の効果について、パーツの前後とセッション全体の前後に測定を行って検討した。認知的な準備を整えてから行動学習に焦点化したことで、行動学習の効果が促されるものと思われた。 混合クラス編成をとった場合の、日本人学生における学習効果を測定した。日本的行動の再認識と、日本的な認知の最悪人が促され、仲介役を取る際の説明の練習効果があるものと思われた。 2.日本人学生を対象とした異文化間ソーシャルスキル学習を組み込んだ異文化間教育 異文化接触体験の希薄な日本人学生集団に対して、留学生版のAUC-GS学習モデルを基盤にした異文化間教育を試みた。スキル学習に関しては、アメリカ留学版を取り入れた。気づきの高まり、認知の再構成、ある程度の行動的な学習が生じたことが確認できた。従来渡航前教育や渡航中の適応支援として開発されてきたこの教育が、教養目的の適用によりもたらすものは、主に気づきと認知の変化であるが、異文化接触への態度の変容が生じるかどうかは、興味深い問いになろう。 3.ソーシャルスキルと対人関係、異文化適応 質問紙調査の結果を分析して、スキルの適応促進仮説の検証を試み、肯定的な結果を得た。対人関係形成におけるソーシャルスキルの役割を、日本人学生と外国人他の対象の間で探った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
セッションの実施と反応の測定、フォローアップの実施を積み重ねながら、実施方法や対象者の多様化を組み込んで、展開を続けている。
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今後の研究の推進方策 |
セッションの実施を続け、多様な効果の測定方法について、更なる工夫を行っていく。例えば質問紙と面接の併用により、統合法を用いた分析を考えている。また蓄積された実施例を集めてメタ分析を行って、属性などの条件による分析を進めることを考えている。
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