1.異文化滞在者を対象としたソーシャルスキル学習セッションの実施 (1)日本語力・英語力が多様な複数地域出身の在日留学生を対象に、日本人学生を補助役とする混合グループで、認知行動的なスキル学習の実験的セッションを行った。小集団型の心理教育的セッションとして、認知行動論を背景に構成した。留学生は認知と行動の両面でスキル学習が促された。日本人学生は、文化行動をスキルと認識し、スキルの説明や学習の補助をする能力を高めた。(2)特定地域出身・日本語力上級者である在日留学生を対象に、ファシリテーターと学習者個人がペアになり、個人型のソーシャルスキル学習セッションを実施した。参加者においては、スキルへの関心、文化行動への理解、文化学習の意欲が高まった。2.セッション参加者のフォローアップの実施 スキル学習セッション後のスキル使用状況、対人的反応、対人関係形成、異文化適応、スキル学習への主観的評価について、面接調査および質問紙調査を行い、長期的効果として文化行動の学習方法の学習が生じることを確認した。3.特定主題型スキル学習教材の開発 間接表現、集団性、外国人扱いなどに焦点を当てた学習教材を、日本人学生と留学生へ対比的調査をもとに作成した。4.アシミレーター教材の開発 認知的学習用のアシミレーター教材を作成し、行動学習を重ねる合併型セッションを試行した。5.スキルと異文化適応に関する基礎研究 在日外国人のスキルスイッチングについての質問紙調査、特定国滞在者のスキル抽出のための対人行動上の困難に関する面接調査、ホストファミリーにおける対人的葛藤についての面接調査を行った。6.成果を公表するため、研究代表者は、学生を研究補助者としてこれらを実施し、国内外の学会で成果を発表し、日本語および英語の論文として投稿した。
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