研究課題
本研究の目的は、幼児、児童、青年における、他者の多様性を受容する態度、つまり「寛容(tolerance)」の発達について、他者の集団への受け入れについての判断から検討するものである。集団排除は多面的な判断の過程であり、文脈の詳細な分析を必要とする。今年度は小学生から中学生にかけての発達的変化を探った。小4生、小6生、中2生、大学生を対象に、排斥の対象となる人物と集団の特徴による判断の差を検討するために、5種類の人物と2種類の集団(私的集団と公的集団)において「排除判断(集団からの排斥の是非)」と「変容判断(その人物は変わるべきか)」を求めた。その結果、単純に年齢による寛容性が高まるあるいは低まるというような直線的な変化はみられなかった。小学生でも集団や人物の特徴を考慮して判断を行った。中学生を除き、おおむね仲間集団よりも班に対して排除を認めない判断がされた。その一方で、小学生は異質な他者への変容を求める傾向が高かった。集団からの排除に関する判断は児童期から青年期にかけての友人関係の意識や志向性と関連することが予想される。続く研究では、友人および集団関係の意識の点から排除判断にかかわる要因を探った。その結果、固定的集団志向性・閉鎖的集団志向性・友人との同調欲求が高いと排除を認め、友人との親和欲求・相互尊重欲求が高いと排除を認めないことが示唆された。
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