研究課題/領域番号 |
20530578
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研究機関 | 大阪商業大学 |
研究代表者 |
杉田 陽出 大阪商業大学, 経済学部, 准教授 (60268290)
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研究分担者 |
入交 眞已 北里大学, 獣医学部, 講師 (70453511)
新島 典子 ヤマザキ学園大学, 動物看護学部, 准教授 (70422350)
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キーワード | 獣医師 / 倫理 / 安楽死 / 意識調査 / 飼い主 / コミュニケーション / ペット / コンパニオンアニマル |
研究概要 |
研究最終年度にあたる本年度は、「獣医師の安楽死処置選択の条件」と「飼い主に安楽死を提示・説明する際の獣医師のコミュニケーション行動」というテーマに焦点を当て、アンケート調査で得られたデータを分析し、その結果を発表した。まず獣医師の安楽死処置選択の条件については、「動物に回復の見込みがない」と「飼い主が安楽死を望んでいる」の2条件が揃った場合に、獣医師は処置選択に賛成する傾向があること、欧米では処置選択の条件になりうる「動物に回復の見込みがない」、「飼い主に治療費の支払い能力がない」、「回復後に動物のQOL(生活の質)が落ちる」、あるいは「飼い主のQOLが落ちている」といった状況下でも、「飼い主が治療を望んでいる」限り0獣医師は処置選択に反対する傾向があることが判明した。この結果については、平成22年7月にスウェーデンで開催された人と動物の絆に関する国際会議において口頭発表を行い、安楽死処置に関する欧米と日本の獣医師の意識の違いを提示した。次に獣医師のコミュニケーション行動については、コミュニケーションスキル科目の受講経験者は極めて少なく、臨床獣医療分野におけるコミュニケーション教育の位置付けの低さが示されたことに加えて、獣医師は飼い主との対話において言語及び周辺言語メッセージを重視する傾向がある反面、非言語メッセージの役割に関する認識はやや低く、「コミュニケーション=言葉のやりとり」という捉え方をしていることが示唆された。この一方で、共感的コミュニケーション行動を取る獣医師は多いことも判明し、この点において、多くの獣医師が獣医療面接において理想とされるコミュニケーション行動を理解している様子が窺われた。この結果については、概要を研究ノートにまとめて発表した他、詳細を論文化した上で、平成23年6月に日本コミュニケーション学会において口頭発表する予定である。
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