研究概要 |
本年度は,これまでに収集した各種の講座や研修・訓練プログラムの事例をデータベース化した資料について,主体的な取り組みを支援する観点から,プログラム内容の詳細な整理・分析を継続し,地域における自主防災組織の組織化や活性化に向けた防災リーダーの参加・関与行動を促進する要素を抽出した。ここでの基本的な知見は,自身の取り組みについて他者からの期待が存在すること,または想定できること。取り組み内容が日常の生活で活用できること,特に取り組み内容が家庭における防災行動につながること,の二つであった。またこれと並行して,仮想訓練システム(STEP)の実施を行い,システム運用上の問題や課題を整理し,防災リーダー養成プログラムの中核とするための検討を行った。このプログラムにおいては,これまで「阪神・淡路大震災」が被害想定の規模や予想されるトラブルの内容について,リアリティを高める役割を担ってきたが,発災から15年が経過し,この震災の共通経験としての位置づけが薄れてきたことで,新たなリアリティの構築方法を検討する必要があった。そのため,国内外で発生したさまざまな震災に関する報道映像を用意し,リアリティを高める仕掛けとして検討してきたが,本年3月11日に東日本大震災が発生したことにより,この状況は大きく変化した。現状では3.11以降の状況変化があまりにも大きいため,震災のリアリティそのものは特別な仕掛けをするまでもなく,非常に高い状態が持続している。そのため,これまで「阪神・淡路大震災」に基準を置いてきた被災想定の基準については見直す必要がある。
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