研究概要 |
本研究は,インターネット上で利用者が自ら随時情報の登録や更新を行えるデータベースコミュニティである「知識共有コミュニティ」について,(1)コミュニティ参加者の意識と行動と,(2)コミュニティ内で共有される知識,に注目した実証的アプローチによって探求し,インターネット上の「集合知」に関する統合的な理解を目的とするものである.本年度は,昨年度に引き続いて,他の知識共有コミュニティとの比較検討のための調査データの分析と研究全体の総括,をおこなった.それぞれの具体的な内容は以下に示すとおりである.なお,すべてについて,研究代表者と連携研究者(東京経済大学コミュニケーション学部川浦康至教授)が協同でこれにあたった. ア) 他の知識共有コミュニティとの比較検討のための調査データの分析 まず,平成21年度に実施した他の知識共有コミュニティ(Wikipedia)との比較調査データを詳細に分析した.分析の際の観点としては,(1)コミュニティのタイプや,主たる利用者たちのメディア意識や両コミュニティへの参加の程度や期待に見られる差異がもたらす相違点と,(2)知識共有コミュニティ全体に共通する点,の両者を析出することを念頭に置いた.こうした成果について,日本社会心理学会第51回大会において報告を行った. イ) 研究の総括 これまでに得られたすべての研究成果をとりまとめた報告書を作成している.さらにこの内容を一般市民向けに分かりやすく解説したものを,近い将来に書籍として公刊することを企画中である.
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