研究概要 |
(1)認知能力の因子構造モデルの1つとしてCattellのGF-Gc(流動性認知能力-結晶性認知能力)モデルがある(Cattell,1971)。また,Homは短期記憶と再生(Gsm),長期記憶と再生(Gir),視覚的処理(Gv),処理速度(Gs)を認知能力因子として追加した。一方,Carroll(1993)は過去50年間に行われた認知能力構造に関する研究を概観し,調査対象とした研究の中から信頼できる461件のデータセットをメタ分析して,認知能力の3階層(three-stra tumtheory)モデルを逞案した。そこで,本年度は最新の個別式認知能力検査(WJ III,KABC-II,DN-CAS)を入手し,下位検査を分析した。その結果,DN-CASは認知処理過程を中心とするが,WJ IIIは全面的にCHCモデルに依拠し,また,KABC-IIはバージョンアップによって認知処理過程に加えてCHCモデルに基づいて検査結果を解釈できるように変更するなど,CHCモデルに基づく検査の多いことがわかった。したがって,将来的に他の検査で測定する認知能力との関係を分析することを考慮すると,基本的にはCHCモデルに基づいて,コンピュータ化されたテストならではの下位検査を作成することが望まれると結論した。 (2)項目プールの作成に向け,項目母数の等化法に関する研究を行い,意見を求めた。 (3)認知能力検査の開発は児童・生徒の学習指導ぺめ重要な資料を収集するために存在するので,教育専門家から意見聴取を行い,下位檎査の予備的開発を行った。今後,予備調査を行う予定である。
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