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2010 年度 実績報告書

加齢に伴う安定化傾向を通してみた自伝的記憶システムの特性

研究課題

研究課題/領域番号 20530586
研究機関群馬大学

研究代表者

佐藤 浩一  群馬大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (40222012)

キーワード自伝的記憶 / エピソード記憶 / 生涯発達 / 意味記憶 / 加齢 / 青年期 / 成人期 / 高齢者
研究概要

本研究の目的は、加齢に伴う変化という視点から自伝的記憶の特性を明らかにするとともに、記憶システム全体の中で自伝的記憶の位置づけを明確にすることである。22年度は(1)自伝的記憶とエピソード記憶の関係、(2)記憶の意味づけの加齢変化、という2側面を検討し、20年度からの成果を合わせて統合的モデル化を試みた。
3つの研究を行った。第1に、自伝的記憶とエピソード記憶を比較した。自伝的記憶課題として参加者は、性格特性語を手がかりに自らの経験を2つ想起した。エピソード記憶課題として参加者は、ある人物がある性格特性語に合致する行動をしたことを示す文を5つ学習した後、性格特性語を手がかりに2文を想起した。いずれの課題も1週間間隔で2回繰り返した。青年群(18~22歳)と成人群(34~49歳)の結果を比較したところ、自伝的記憶課題のみ、成人群が青年群より安定性が高いことが示された。第2に20~70歳代の参加者に最早期記憶の想起を求め、想起過程や意味づけを問う記憶特性質問紙への回答を求めた。その結果、20歳代よりも中年期以降の方が最早期記憶を鮮明に想起し、現在の自己とのつながりを意識していることが示された。第3に20~70歳代の参加者に、中学時代の教師とのコミュニケーションの経験を想起させ、記憶特性質問紙への回答を求めた。その結果、20歳代よりも中年期以降の方が、教師とのコミュニケーションを鮮明に想起し、自己にとっての意味づけを強く認識していることが示された。第2・第3の研究は、時間経過に伴い想起の鮮明さや意味づけが強まることを示しており、時間経過に伴う減衰の影響を受けにくいという点で、自伝的記憶の独自性が示唆される。
20~22年度の成果に基づき、自伝的記憶は意味記憶やエピソード記憶とは異なる構造・機能を有するシステムとして記憶システムの中に位置づけられると言える。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2011 2010

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 自伝的記憶の安定性-意味記憶との比較(2)-2011

    • 著者名/発表者名
      佐藤浩一
    • 雑誌名

      群馬大学教育学部紀要人文・社会科学編

      巻: 16 ページ: 223-232

  • [学会発表] 自伝的記憶想起の安定性と変動性-意味記憶検索との比較(3)2010

    • 著者名/発表者名
      佐藤浩一
    • 学会等名
      日本心理学会第74回大会
    • 発表場所
      大阪大学(大阪府)
    • 年月日
      2010-09-22
  • [図書] 『現代の認知心理学2:記憶と日常』のうち丁自己と記憶」の章を担当2011

    • 著者名/発表者名
      太田信夫・厳島行雄(編)
    • 出版者
      北大路書房

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公開日: 2012-07-19  

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