研究概要 |
本研究の目的は平成20-22年度に国際比較を通して、超高齢期の心理社会的発達課題を解明し、老年前期、老年後期も照射した高齢期全般の生涯発達モデルを予備的に検討するとともに、日本の歴史的、文化的文脈に即した超高齢期の多文化生涯教育モデルを構築することである。平成20年度は多文化生涯教育の先進例として、ハーバード大学リタイアメント研究所、ペンシルベニア州リタイアメント・ビレッジ、シカゴ大学大学院社会学研究科・比較人間発達研究科・附属中学校を視察した。また、生涯発達モデル検討のため、名古屋市高年大学で質問紙調査を実施し、静岡大学で高齢者に半構造化面接調査を実施した。 その結果、超高齢期の心理社会的発達を評価する老年的超越性尺度をスウェーデン語原版から翻訳して日本語版を開発し、尺度の信頼性および妥当性を検証した。また、高齢者の語りの質的データから、現代日本における老年前期、老年後期、超高齢期に至る心理社会的発達プロセスを抽出した。さらに、高齢者の心理社会的発達とクオリティ・オブ・ライフの概念モデルを重回帰分析により検証し、心理社会的発達の予測因を解明した。 以上の研究成果公開は、星野和実・梶田正巳・Steven H. Zarit他(2009)による日本心理学会第73回大会のワークショップ(立命館大学)、Hoshino, K., Zarit, S.H., & Nakayama, M. (2009)による日本心理学会第73回大会のポスター発表(立命館大学)、Hoshino, K., Zarit, S.H., & Nakayama, M. (2009)による62nd Annual Scientific Meeting of the Gerontological Society of America (in Atlanta, GA, USA)等で予定している。
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