英語における形容詞プラス名詞からなる名詞句は、文脈上、形容詞が対比などにより焦点となる場合を除き、主要部の名詞にアクセントを置くことが原則である。しかし、日本人英語学習者の音声教材について、実際に名詞句におけるアクセントパタンがどのようになっているかは、これまで示されていない。本年度の第1研究として、大学レベルで使用されているVOAおよび英語短編の音声教材の中から形容詞プラス名詞の名詞句を合計約300例を選択し、形容詞と名詞の基本周波数FOを測定し、アクセント分布の比較を試みた。その結果、形容詞にアクセントが50-70%置かれていることが明らかになった。これは情報構造の効果と考えられるが、英語教育上、日本人学習者がこの分布に基づいて名詞句のアクセントパタンを学習するならば、基本パタンの学習ができにくいことが示唆される。この研究内容は、『中国地区英語教育学会紀要』に共著論文として掲載予定である。 日本人の英語発音において、英語母音の学習は難しいことが知られている。第2研究として、英語母語話者の母音の第1・第2フォルマントによる母音距離および空間が母音の質の指標となりうるという仮説のもと、日本人学習者の英語文章音読における母音距離・空間の検討をおこなった。その結果、アクセントのない母音については、学習者の母音空間のほうが英語話者よりも大きい傾向が見出された。これは、Nova Science Publishers出版のSecond Languagesという単行本の第1章として掲載予定である。このほか吃音者の音読特徴について学会発表をおこなった。
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