本年度は、4年間にわたる縦断調査研究の最終年であった。本年度の研究目的は、第1に、2008~2010年度の高校3年生調査において卒業後の調査協力を申し出てくれた対象者への郵送調査を実施すること、第2に、4年間の調査の最終報告書を作成することであった。本年度卒業後のフォローアップ郵送調査に関しては、第1コホート(卒業後3年目の調査)191人、第2コホート(卒業後2年目の調査)203人、第3コホート(卒業後1年目の調査)267人のデータを回収することができた。これで調査を全て完了し、4年間の縦断データ191人、3年間の縦断データ469人、2年間の縦断データ962人の3種類の縦断データを収集することができた。 以上のようなデータにもとづいて、最終的な分析をおこない、最終報告書を作成した。その目次は、以下の通りである。第1章本研究における課題と方法、第2章高校3年生における進路選択と時間的展望、第3章高校卒業にともなう時間的展望の変化、第4章時間的展望の縦断的分析、第5章時間的展望の変動タイプの分析、第6章時間的展望と自己意識との関連、第7章時間的展望と能力・適性観、社会観、第8章時間的展望と小中学生の頃の活動、第9章時間の使い方の満足度と時間的展望、第10章総合的討論。 3年間ならびに4年間の縦断的データの分析から、時間的展望が最も大きく変化するのは高校3年生から卒業1年目にかけての時期であることがわかった。高校卒業前後において、男子では、将来への志向性が弱まり、女子では、将来への希望や志向性が弱まる一方で、将来目標の渇望が強まることがわかった。
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