研究概要 |
日本語を母語とする人間にとっても,母語としない人間にとっても,日本語の習得の基本的事項として漢字の習得の重要性が指摘できる。漢字学習に関する筆者の一連の研究の知見より,本年度の研究では,漢字学習方略と漢字学習の関係について検討することを第1の目的とする。 そこで,本研究では,第1の研究として、漢字学習態度や方略を分析し,漢字学習に関係すると考えられる学習方略や漢字学習時に働くメタ認知を明らかにした。そのためにこのような分析でこれまであまり使われてこなかったテキスト・マイニングの手法を用いる。さらにそこで得られた知見から,漢字学習と学習方略や漢字学習時のメタ認知機能の関係について検討した。 第2の研究として、漢字学習と学習方略や漢字学習時のメタ認知機能の関係について漢字熟達者としての日本人学生と、漢字入門期の外国人日本語学習者との比較を行った。 第3の研究では谷口(2002)で作成された創作漢字,及び研究1で作成された漢字学習態度尺度を用いて、1)書字練習条件,2)字源学習条件,3)読字条件の3条件を設定し,漢字学習-漢字の読みの再生を行い,つづけて漢字学習態度の測定を行った。実験の結果、従来の結果と同様に、書字練習条件が他の2条件よりも、漢字の学習成績が高くなったことが示されたが、漢字学習態度の関係は明瞭には示されなかった。 第4の研究では、漢字アニメーションの提示が筆順の学習に効果を示すかどうかを検討した。この実験では、漢字アニメーションを提示し、空書による漢字学習の後、漢字の書字過程を記録することしした。この実験は、現在準備中である。
|