保育園の3歳児クラスと4歳児クラスの幼児を対象に、(1)言語発達課題として、(1)語彙検査と(2)了解問題、(2)心の理論課題として、誤信念を測る(1)<不意移動課題>と(2)<だまし箱課題>、(3)ふり課題として、(1)ふりの産出課題、(2)ふり遊びの観察、(3)他者のふりの理解課題を行った。そして、3歳児と4歳児を込みにした46名を対象にして、3種類の課題間の関係を調べた。 結果は(1)心の理論の課題と言語発達との関連;サリー・アン課題では、語彙検査の高群の正答数(48%)のほうが低群の正答数(28%)に比べ、有意に多かった。(2)ふりの課題と言語発達との関連;(1)ふりの産出得点と語彙検査得点の相関はr=.43、了解問題正答数との相関はr=.34で、それぞれ関連がみられた。(2)ふりの理解得点と語彙検査得点との相関は、r=.33だった。(3)心の理論の課題とふりの課題との関連;(1)ふり産出得点とスマーティ課題の正答数との間に、r=.29の弱い相関関係がみられた。(2)ふり遊びにおいて、人の動作に言及した子どもとそうでない子どもを比較したところ、前者のほうが後者に比べて、スマーティ課題の正答数が多いことが見出された。 以上の結果から、ふりの産出課題と言語発達(語彙と了解)との関係の深さがうかがえた。また、ふりの産出、ふり遊びでの人の動作への言及と、スマーティ課題の正答数との間に関連が見られたことから、自分の過去の誤信念や他者の誤信念を語ることが、ふりの中で自分や架空の他者を想像して表現するシミュレーション機能に関係することが示唆された。
|