以下の2点の研究成果を得た。 1 本研究に使用する本テスト用の算数文章題を4タイプ選択し、各タイプ8種類(難問題4種類と、易問題4種類)の問題を作成した。4タイプの算数文章題を選択した基準は、算数にかかる新学習指導要領の特徴に基づいたものであった。それらは、「身につけた算数を生活や学習に活用する」基本となる技能の習得、「小・中学校の接続・連携」の観点、及び「知的なコミュニケーションを図る」力の育成、の観点によるものであった。これらの基準に従って選択された問題は、更なる吟味を経ることで、上記の特性を有する基準の算数文章題となるだろう。 2 予備テスト、本テスト、及び転移テストの各算数文章題、並びに本テストに対応する例題(自己説明用と教師説明用)を準備し、1月から2月にかけて、小学5年生と6年生に、自己説明による算数文章題解決と転移のテストを実施した。最初に、小学6年生の結果を得て分析した。その結果、自己説明用の例題を学習した自己説明群と教師説明用の例題を先生の説明に従って学習した教師説明群(統制群)とを比較したところ、予備テストでは違いがなく、両群に算数の学力に違いがなかった。本テストと転移テストの結果でも、現在のおおざっぱな分析結果では両群に違いがなかった。今後は、自己説明群の自己説明の内容等を分析し、自己説明による算数問題解決の優位性を明確にしたい。5年生のデータは現在分析中である。
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