本研究は、子どもの要求や意図がわからないために、育児不適応を生じている母親に対して、適応的な子どもへの関わり方を体験的にトレーニングできる発達プログラムの開発を目的とした、母親による子どもの情動認知の発達過程についての基礎研究である。 平成21年度の中心的な活動は、 (1)平成20年度に引き続き、妥当性、信頼性が検証されたVTR刺激を用いて、健常な母子群を対象に、母親の情動認知の手がかりと解釈の横断的、縦断的調査を実施した。 (2)調査で得られた量的・質的データを分析し、それらの研究結果を国内外の学会・論文で発表した。 (1)の活動については、3ヶ月、6ヶ月、9ヶ月、12ヶ月の乳児を持つ健常な母子群20組に対して、3、6、9、12か月の4時点で縦断的に質問紙と面接調査を同一の母子に繰り返し実施し、個人内変化のプロセスデータを収集した。また、同様の調査を3、6、9、12か月の4時点で横断的に月齢ごとに異なる母子に実施し、コホート差に関するデータを収集した。 (2)に関しては、面接調査に基づくデータから得られた母親による子どもの情動認知の特徴と育児不適応との関連という視点から、国内外の学会で発表を行った(日本発達心理学会、日本心理学会、ICIS)また、論文としてまとめ、公刊した(名古屋大学大学院教育発達科学研究科紀要)。
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