本研究は、学童保育における児童発達支援システムの構築に関する実証的、事例的検討を行うことを目的とする。 平成22年度は、平成21年度より開始した二つの学童保育所に対する各々月2回の巡回相談を3月まで継続した。前年度の振り返りから、チームとしての指導員の連携強化、および、指導員個々の要支援児童への効果的な関わりのスキルアップが重点項目であると考えられたため、これらを重視した巡回とミーティングを行った。具体的には筆者を含む相談員2名で、要支援児童の様子、子ども同士の関わり、子どもと指導員との関わりについて保育時間中の参与観察を行い、その後、主任指導員または指導員とミーティングを行って当日の子どもの様子を摺り合わせ、個々の子どもへの指導員の対応スキル、学童保育所の環境整備などについて具体的なアドバイスを行った。また、平成20年に実施した支援ニーズ調査結果では指導員のメンタルケアが強く求められていたため、本年度も指導員の困難に耳を傾ける時間を充分とった。指導員連携に関しては、まずは各指導員の持ち味の相互理解を促進し、これらを保育に活かす役割の工夫について提言した。その結果、各学童保育所が抱える事情の違いを超えて、お互いの持ち味を共有することで、保育の役割分担や業務上のコミュニケーションにプラスの影響が認められた。また、指導員は二年間の巡回相談を振り返って、(1)指導員のメンタルケア、(2)子どものトラブル対応、(3)学童保育所の環境整備、(4)要支援児童への関わり、(5)子どもの特徴の理解、(6)保護者対応などに特に有効であったと述べている。 今回の継続的巡回相談は、子どもの変化や成長を考慮したタイムリーな支援プランの実践、指導員の保育力量と保護者対応のスキルアップに効果が認められたが、より効果的な児童の発達支援に向けては、学童保育と保護者・学校を繋ぐ連携体制を構築する必要がある。
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