研究概要 |
本研究では,音声コミュニケーション能力の総合的な教育評価方法の開発を目的としている。そこでは,論理的思考能力や表現応答能力といった言語的能力の側面に加えて,対人的な認知推論能力を測定の対象とした新しいコミュニケーション能力テストの開発をめざしている。 今年度は,従来型のリスニングテストが測定しているものが,言語能力や他の教科学力と,どのような関連性があるかを分析した。そこでは,センター試験の試験成績を分析資料として,それぞれの教科科目間の学力の布置と歴史的推移を検証した。その結果は,日本テスト学会誌に学術論文として採録された。 また,対人的な認知推論能力の検討のため,音声の明瞭性や話し方の特徴から話者の人柄や性格を推測する聴覚実験の分析を進めた。それを通じて,音声コミュニケーション場面で相手の特徴を推し量る手がかりとしている音響的特徴を検討した。その結果,音声の韻律的特徴量と話者の性格特性印象の間には,非線形な関係性があることが明らかとなった。これらの研究の成果は,国際応用心理学会議,及び日本心理学会第73回大会で発表したところである。
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