研究概要 |
研究I MEASUREモデルの検討では、学校長2名、教員2名、スクールカウンセラー(以下SC)8名を対象に聞き取りを行った結果、個人への対処的サービス以外の実践は校内理解が難しく、MEASURE以前に潜在ニーズの明確化も難しいこと、SC自身も全校型支援のモデルや方法への知識経験を必要としていることが分かった。そこで平成22年3~4月にはフルブライト専門家プログラムでMEASURE創始者のCarolDahir氏を2週間招聘し、MEASUREを含む全校型支援についてのより包括的な教材(テキスト)の執筆に着手した。 研究II 海外の教材とその背景の検討では、担任教師中心の全校型支援を行う香港を検討に加えた。全米暴力防止コンソーシアムメンバーとの共同研究を開始し、メンバーの平成22年度短期招聘申請を行って採択され、成果の一部を国際学校心理学会で発表予定である。またSC経験の長い日系米人Yagi,D氏やミズーリ州教育委員会Stanley,B氏、Dahir氏などから米国の各種教材やSC養成プログラムについて知識提供を受け、理論面を含む教材とその背景の検討を進めた(22年夏学会発表予定)。香港については10月に教育省Lee氏を招聘し、3月には香港で視察を行い資料収集を進めた。いじめ予防やキャリア教育等でも各教科と相互乗り入れした全校型支援が有効など具体例と知見を蓄積した。 研究III サイトの作成とツール提供では、教育政策研究所の協力を得て作成した「サイト入力による学級風土アセスメント自動分析システム」を改良し、小学校用短縮版(伊藤,2009)を学術雑誌に公開し専用ソフトの分析ステップを作成した。平成20年度より継続の某市教育委員会と共同研究では、小学校115校・中学校51校のデータを同ソフトおよびHLMにて分析した(現在論文執筆中)である。また、研究I IIの成果も含めて全校型支援ツールとして小冊子を作成した。また学級風土コンサルテーションおよびSCとの協働による心理教育を継続し、日本型の全校型支援事例の蓄積と発表(伊藤ほか2009)を行った。
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