平成20年度に実施した調査の回答者223人のうち、追跡調査に対する協力の同意が得られた192人を対象に質問紙による郵送調査が実施され、男性76人、女性91人から回答が得られた(回収率87.0%)。前回の調査時点では全員が犬を飼育していたが、今回の調査では、「飼っていない」という回答が5.4%であった。犬以外のペットの種類や犬の飼育数は前回とほぼ同様の状況であった。犬の飼育場所は約85%が家の中であったが、年齢による飼育場所の変化は前回よりも顕著であった。飼育されている犬の年齢は9~10歳が最も多く、13歳以上の高齢犬も約15%と少なくなかった。犬との情緒的一体感は強い(尺度の平均得点は高い)が、前回調査の回答と比べると、肯定的な回答の割合が少なくなっていた。ペットをなくした経験があるのは約1割で、前回調査とほぼ同じであった。 量的な質問紙調査とは別に、過去1年間にペットをなくした経験のある2人の高齢者を対象に半構造化インタビューを実施し、ペットロスに対する反応や対処法などに関する情報を収集した。 平成20・21年度において実施した量的および質的調査から得られたデータの分析を行い、高齢者がコンパニオン・アニマルと生活することの効果や影響を詳細に検討し、コンパニオン・アニマルと生活を続けるための具体的な支援策などについて提案する。
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