心理的な要因が大きいことが指摘されている甲状腺疾患で受診する人を、初診、6ヶ月後、1年後に調査して、カウンセリングを受けたり、心理的なものに開かれている人と、そうでない人を比較しようというものである。 隈病院の初診300人に対して、1.質問紙NEO、2.バウム・テスト、3.半構造化面接を行った。6ヶ月後に再来した人に関しても同じ調査を継続中である。 調査は途中であるが、以下のような結果がわかってきている。 1. バセドウ病、橋本病、腺腫によって、パーソナリティーの違いが見られた。これまで心身症と考えられてきたバセドウ病が、最も神経症に近く、アレクシサイミア的でなかった。逆に問題視されてこなかった腺腫の病態水準が重い。 2. 心理的な問題や訴えをする人は多くても、実際にカウンセリングに移行する人はほとんどなかった。カウンセリングを受けるのには、主治医の要因が大きいと考えられる。またカウンセリング受診群の比較については、カウンセリングに関心の高い人で代用せざるをえない。 バウム・テストを用いての、カウンセリング群と非カウンセリング群の比較、および様々な甲状腺疾患の比較に関しては、心理臨床学会および甲状腺学会で発表した。また関連するこれまでの研究は、『心療内科』に掲載され、研究代表者の編によるこのテーマの著書も刊行された。
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