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2008 年度 実績報告書

不気味の谷の実験心理学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 20530658
研究機関東京大学

研究代表者

瀬山 淳一郎  東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助教 (90302653)

キーワード実験心理学 / 顔の知覚・認知 / 不気味の谷 / 人造顔(5)自然顔
研究概要

本研究課題では、「本物らしさ」または「リアリズム」の判断の背景にある知覚・認知メカニズムの、を、実験心理学的手法で検討している。20年度は、ロボット工学分野で「不気味の谷」として知られる現象を、顔の歪み残効の測定を通じて検討した。不気味の谷は、人工物を人間に似せていけば似せていくほど、人工物に対する観察者の印象が悪化していく(とされる)現象である。不気味の谷は、人工物全体について成り立ちうるものであるが、本研究では問題点を整理するために、研究対象を顔に限定し、生身の人間の顔=自然顔と、作り物の顔=人造顔に対する顔の知覚・認知を比較した。不気味の谷が生じる原因として次の二つのものが考えられる。1)自然顔と人造顔は、脳内の異なるメカニズムによって処理されており、それぞれのメカニズムの性質の違いを反映した現象(の一つ)が不気味の谷である。2)自然顔と人造顔は、脳内の同一のメカニズムによって処理されているが、そのメカニズム内で異なる処理を受けている。これら二つの仮説の妥当性を検証するために、自然顔と人造顔の間で顔の歪み残効が転移するかどうかを測定する実験を行った。今回用いた顔の歪み残効は、順応刺激として拡大された目を持つ顔(順応刺激)を持続的に観察すると、その直後に観察した顔(検査刺激)の目の大きさが過小評価されるという現象である。順応刺激として自然顔を用いた場合、検査刺激が自然顔と人造顔のいずれであっても残効が生じた。ただし、順応刺激として人造顔を用いると、検査刺激が自然顔と人造顔のいずれであっても残効はほとんど生じなかった。これらの結果は、人間の視覚系は自然顔と人造顔を同一のメカニズムによって処理しているが、人造顔に対する処理は不完全なものであることを示唆している。この成果は現在学術誌に投稿し、審査を受けている段階である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2008

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 目の大きさの残効で不気味の谷を探る2008

    • 著者名/発表者名
      瀬山淳一郎・永幽ルツ子
    • 学会等名
      日本心理学会第72回大会
    • 発表場所
      北海道大学
    • 年月日
      2008-09-21

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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