予測の脳活動を反映している脳波(事象関連電位)“刺激先行陰性電位(以下SPN)"を指標とし、マルチモーダルな生理指標測定を行い、動機づけとコミュニケーションの関係と脳活動を解明することが本研究の目的である。 本年度は、まず、生理指標測定のための課題プログラム、時間評価課題を刺激呈示ソフトウェアのE-Primeを用いて作成し、その実験課題プログラムに間違いが無いか等を確認するための予備実験を行った。異なる条件間での脳活動の部位の違いについて検討することを目的とし、記号コミュニケーション(言語系)条件と非記号コミュニケーション(非言語系)条件とコントロール条件の三つを設定した(本課題はフィードバック情報の操作により、異なる実験条件を作り出すことが可能となる)。 最初に課題の信頼性を確認するため数名のデータを分析後、本実験を開始した。しかし、予課題プログラムの確定と備実験とデータ分析に予想を上回る時間を要した。精密なデータを記録するため、課題に慣れるためのトレーニング実験、別の日に生理指標を測定する本実験という流れで実験を遂行している。現在も継続して、多電極脳波、fMRI、NIRSを用いたデータの収集を行っている。生理指標の測定と共に、時間評価課題の正答率や動機づけの度合いといった行動指標の測定も行っている。脳波は東京工業大学にある脳波計一式を使用し、fMRIとNIRSは共同研究を行っている東京大学医科学研究所に設置されているものを使用している。 なお、実験は東京工業大学の倫理規定に従って遂行し、主に東京工業大学の学部生・大学院生に対して被験者の募集を行っている。
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