研究概要 |
記億についての確信度と記憶の正確さの関係(C-A関連)については,関連を否定するPerfectらによる一連の先行研究と,関連を見出したわれわれの研究室での実験との相違点の洗い出しを行った。その結果,「わからない」反応を認め,それを分析から除外することの影響と,記憶テストに推測で正答できる可能性の影響を候補として見出した。本年度は,まず後者の影響を確認する実験を行った。新たに集めた推測課題のデータを以前に得たデータと突き合わせ分析したところ,推測可能性が高いほどC-A関連が低いという予測と逆の関係を示唆する結果が得られた。並行して,上記2つの可能性をさらに検討するための記憶実験で用いるビデオ材料の作成を行った。これを用いて次年度に記憶実験を行い,データを集める予定である。 対人間メタ認知については,カナダVictoria大学のS.Lindsay教授の実験材料の日本語化を行い,それを用いて実験を行い,約100名分のデータを収集した。十分な分析を行うためにはさらに100名分ほどのデータを集める必要があるが,現在のところ,異人種(アングロサクソン)の顔より自人種(アジア人)の顔をより正確に判断できる自人種効果が,目撃者役の実験参加者に見られること,捜査官役の参加者は,自人種効果の存在を知ってはいるが,目撃者の犯人識別判断(ラインナップ)の結果を,犯人がだれであるかについての自身の判断に反映させる際に、その知識を用いることはない,という傾向が示唆された。
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