研究概要 |
3年計画の研究の初年度ということもあって、頭部および腕を傾斜させる装置を作るところから研究を始めた、身体各部の傾斜感覚の測定ができる装置を、設計の段階から業者につくらせたために、装置の作成が昨秋までずれ込み、実験を開始するのが大きく遅れた。したがって、まだじゅうぶんにデータが集められていないが、そのおもな成果は次の通り。 1.頭部の傾斜の尺度構成を試みた。頭部の傾斜の尺度を構成するためにまず、被験者の頭部を右あるいは左にさまざまな角度(5, 10, 15, 20, 25あるいは30°)に傾斜させ,その主観的な大きさをマグニテュード推定法によって被験者に推定させた。つぎに、被験者にあらかじめ決めておいた上述の角度を告げて,その大きさに一致するように,頭部を支える支持台を回転させることにより,頭を傾けるように求めた(マグニテユード産出法)。それから被験者の傾けた頭の傾斜角(あるいは座標値)を測定した。 この実験の結果、まだじゅうぶんにデータを整理しえていないが、マグニテユード産出法と推定法によって得られた結果が大きく異なる、一般に東部の傾斜角は、ただしく推定されるか、若干過大に推定される傾向があることが明らかにされた。 2.つぎに、触覚的重力方向に及ぼす腕の傾斜順応効果を検討するために,被験者の腕を前方30°に傾けた状態に維持し、その間に触覚的エッジ刺激を腕に提示して、触重力方向を,恒常法を用いて決定した。この実験は数年前から行っていたが、今年度になってデータが集め終えたので、現在論文を執筆している。
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