本研究では、正常なマーモセットと扁桃体の機能を低下させたマーモセットを用いて、親子間、個体間のコミュニケーションにおける表情認知や音声認知に関する神経機構の変化を単一神経細胞活動の反応性を調べる事により明らかにする事が目的である。 平成21年度では正常なマーモセットを用いて音声認知に関わる神経細胞活動を記録する実験に先立ち、餌報酬を与えるためのハードウェアとソフトウェアの制作を行った。マーモセットの音声(5種類)と非マーモセットの音声(犬の声と日本ザルの音声)刺激を用いて、平成22年2月より4頭のマーモセットを用いて訓練を開始している。用いている課題は以下の通りである。サルの眼前にあるモニターの中心に手掛かり刺激(赤いスポット)が1秒間提示される。その後2-3秒後1秒間聴覚刺激が提示される。マーモセットの音声(Go刺激)ならばマーモセットがモンキーチェアに取り付けてあるボタンをすばやく押すと餌の前にあるシャッターが下がり報酬としてのサツマイモを得ることができる。非マーモセットの音声(No-go刺激)ならばボタンを押させないようにし、次に提示されるマーモセットの音声(Go刺激)が提示される時にボタンを押させ、報酬としてサツマイモを得ることができる課題である。この課題を4頭のマーモセットに行わせ、80%の正答率が得られまで訓練している。学習が成立した後、扁桃体や前頭葉に埋め込み電極を挿入する手術を施し、単一神経細胞活動を記録する実験を始める予定である。
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