研究概要 |
本提案では「理解の認知神経動力学と特殊教育への展開」として,m系列変調法を試験的用途で実際に使えるようにするために必要な技術開発研究を行っている.平成21年度の主要な成果は以下の通り:(1)単純ベイズ分類器を中心とした信号検出法の基礎的な検討を行った.Chernoff情報量を用いた評価から安定した結果が導かれることが示された.(2)パラダイムを改善したブロックデザイン機能的MRI計測において,順音声とその時系列反転の比較(時系列反転の主効果)では,左中下側頭回(21,39野)、左運動前野(6野)、右下側頭回(21野)に賦活が,劣化音声と通常音声の比較(変調の主効果)では,左中心後回(43野)および右内側前頭回(6野)に賦活が、また左側頭皮質(21,39野)、左海馬傍回(34野)、左後部帯状回(23野)、左尾状核および視床、右上側頭回(38野)に抑制が、とくに時系列反転と変調の相互作用では左下前頭回(44野)に賦活が、左下前頭回(47野)、左後頭皮質楔部(18野)、左楔前部(7,31野)、右楔前部(31野)、右視床に抑制がそれぞれ確認された.左中下側頭回(21,39野)、左運動前野(6野)、左下前頭回(44野)の賦活は理解関連脳波成分の頭皮上分布と矛盾しないものであった.この変調では、言語の意味的側面より音韻的側面の理解が評価されている可能性が示された.(3)応用へ向けて,近赤外光計測の可能性の検討に着手した.
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