研究概要 |
伝統的な統計手法の研究においては,確率モデルにおける推定法方法の精度の向上に焦点があり,数理的な理論の進展が著しい。しかし,学力試験を含む心理学研究における実践的データの分析の現場においては,これらとは異なる進展が要求されている。最大の課題は,蓄積されたデータの持つ複雑な構造や背景情報を,研究上の真摯な要求に応えて取り入れることのできる分析手法が十分ではないことにある。多くの応用場面における主要な要求は,データの持つ多様な背景情報を分析に生かすこと,つまり現実的な課題の解決において要求されるに十分であるような対象関係の複雑さを表現しうるモデルを工夫しつつ,またこれらから導かれる意味的な制約(特に推定のためのモデルの候補の生成やパラメータの事前情報による拘束において)を十分に利用することにある。この要求に応え得るデータの分析方法を開発することが本研究の目的である。 本年度達成度または研究の成果 1)グラフィカルモデル(連鎖モデル)の統計的同値性の自動分類を記号処理言語(Prolog)の非決定的実行制御能力を利用することにより可能とした。 2)記号処理言語(prolog)から非線形数値最適化を利用可能とするよう,準ニュートン法の最適化関数をProlog処理系に組み込んだ。 3)UNICODE(utf8)で記述されたXML文書の取り扱いをProlog上で行う環境を整備した。 4)大規模な統計計算に対応するため,64bitOS上で並列線形計算を可能とする統計分析環境を整備した。
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