研究概要 |
2年度目は,昨年度に引き続き、申請者が過去5年間に,延べ128名の現職教員(小学校・中学校・高等学校)を対象に,2つの領域(発達支援と学習支援)で蓄積してきたカンファレンス記録(画像データ)と,当事者への聴きとり記録(音声データ)をテキスト文書に変換し,それらを臨床教育学の視点から理論化・概念化するための基礎作業を継続して行った。また、質的研究の教育学的展開に関する国内研究資料収集も行った。 その際,その理論の国際的な教師の高度職能開発研究における位置づけを明確にするために,フィンランド・オウル大学教師教育学部・大学院との国際的な共同研究(現地での資料収集と研究のスーパーバイズ)を構築するために、スカイプを活用したテレビ会議も3回実施した。 実地調査研究は、主に次の二つの地域で実施した。 地域I:札幌市内公立小学校(都市部)の臨床参画研究 地域II:檜山郡上ノ国町の小学校(非都市部)の臨床参画研究 いずれの地域でも、学校教育現場へ出張し、事前のカンファレンスから実践、事後のカンファレンスまで、参画し、そのプロセスをデジタルの画像・音声データとして記録した。これらの基礎データに基づいて、子どもを包括的に理解するための直感力と、新たな授業を創造的に想像する構想力の涵養に影響する諸要因を分析しつづけた。それを文化-歴史的活動理論のナラティヴな展開という理論的文脈で総合し、授業構想という職能開発に生きるエピソード・カンファレンスとして典型化し、その教育学的な意義を考察するのは最終年度の課題である。
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