研究概要 |
1, 「申請書」の研究実施計画1)に記したとおり、J. ブルクハルト『イタリア・ルネサンスの文化』の文献学的調査を中心とした基本的作業を行った。そのために : (1) 4月、7月、11月、12月の4回、チューリッヒ中央図書館、およびバーゼル大学図書館で日本の図書館には所蔵されていないルネサンス関連図書を調査した。 (2) 調査結果について、マインツ大学教授A. チェザーナ教授と意見を交換した。 2, マインツ大学で上記チェザーナ教授およびE. シュトゥルツボルツ研究助手と『イタリア・ルネサンスの文化』についての研究会を行い、ブルクハルトが主張した「ルネサンス的個人」なるものが、きわめて西欧文化的な「人間」であることをますます確信するに至っている。 3, 本研究代表者は、平成20年10月10-11日東京日仏会館で開かれた「変容する社会と教育システム-日本とフランス-」と題するシンポジウムで研究発表とシンポジウム全体の総括を行った。その中で、日仏を比較しながら、日本の教育が前提している「人間」の見方とヨーロッパが生み出した「人間」を簡単に同一視することは出来ない、と主張したが、その背景には上記文献学的研究とマインツでのスイス及びドイツの研究者との意見交換の成果が反映されている。
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