研究期間最終年度となる平成22年度は、以下のような活動を行った。 (1)東北帝国大学の学生史に関する資料の収集整理とデータベース化に関して (1)東北大学史料館所蔵資料について、東北帝国大学学友会刊行物の入力内容の確認と欠落部分の補足をおこない、またこれを補足するものとして、大正期から戦中にかけての東北帝国大学の学生団体の活動に関する新闘資料の調査収集をおこなった。その成果を『東北帝国大学学友会誌・学生新聞記事目録』としてまとめ印刷し、主要大学の図書館・文書館等に寄贈した。公文書については戦中期の学友会活動に関する資料の分析をおこなった。これらのデータについては東北大学史料館の「東北大学特定歴史公文書・刊行物データベース」のなかに反映されている。 (2)本研究の第二の目的である各帝国大学間の比較研究について以下の成果を得た。 (1)前年度までの資料調査を補足する調査として、東京大学史史料室が所蔵する『文部省往復』の調査をおこない、学生政策をめぐる施策の伝達状況や関係会議の開催状況などの重要な情報を得ることが出来た。(2)各帝国大学における学生監督組織(学生監室、学生課等)の整備運営状況について把握すると共に、大正後期以降定例的に開催されるようになった各帝国大学の学生監督組織による会議(帝国大学学生監室事務協議会、および帝国大学学生監会議等)に注目し、その実態や性格について検討を進め、昭和初期における学生政策の前提となる動向を大学側の視点から把握することができた。(3)戦中期の東京帝国大学大学院特別研究生候補者が従事することになっていた研究事項について明らかにすべく、東京大学史資料室所蔵の『大学院特別研究生関係』に所収されている「研究事項解説書」の翻刻を行った。加えて翻刻済みである東北帝国大学との比較検討を行った。
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