当該年度の研究の成果は、論理的思考力に関わる能力は、科学的な発見や発明の能力に関わり、直観的な経験との相関関係が強いことがわかった。それを国際的な比較により明らかにした。子どもたちのふだんの生活にあるメタ認識の具体的なオブジェを探し出し、そのオブジェに含まれる意味を解明した。特に、子どもたちの生活ドラマにある表現が子どもたちの持つ表象の多様性と豊富さを生み出し、子どもたちの生活をさらに豊かに作り出すことを明らかにした。特に、生活環境や自然環境にあるオブジェをどのように想像的なイメージに転換するプロセスが重要であることが明確になった。この形の多様性が、論理的な思考において具体的な形のイメージを作りかえる際のキーになることがわかった。このことは、理科の物理的な原理の理解の原型となっていたし、また、数学における幾何的な要素と数量的な操作の具体的なイメージの基本形となっていた。このことについては、さらに詳しくその一つひとつの形象の何がどのように結びついているのかという具体的な因果関係図式に関する探究が必要となる。そのためには、具体的なイメージに関わる実態調査を一人ひとりの子どもの論理的な思考過程をめぐって明らかにすることが必要であることが明らかになった。
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