1研究の目的と本年度の課題 本研究では、シティズンシップ教育の中核をなす政治的リテラシーの問題に焦点をあてて、その背後にある思想史的背景を検討すると共に、各国における実践的展開をフォローし、日本における展開可能性につなげていくことを目的としている。本年度は特に、リテラシー概念の組みかえにおいて、政治的リテラシーがどのような位置づけにあるかを、欧米および日本の展開に即して検討した。 2本年度の成果 シティズンシップ教育を実践している欧米や、日本の教育において、リテラシーがどのようにカリキュラムに組み込まれていうかを、歴史的背景や理論的・思想的な動向をふまえつつ、検討した。前年度のアメリカ調査に続き、本年度はドイツでの調査を行い、実態と共に、理論的・思想的な背景についても資料の収集と研究交流を行った。国内の政治教育についても、戦後教育史との関係で検討を行った。また、成年年齢との関係での政治教育の意義についても検討を行った。以上の成果は政治教育や教育改革についての学会発表と論稿にまとめた。 3成果の重要性と意義 前年度に着手した遂行中断性という概念について、政治教育と、その担い手としての教師の問題に即して、さらに深め、教育政治学の可能性を視野に入れて展開することができた。その成果は日本教育学会の学会誌に発表され、政治教育の担い手とその方法に関する今後の方向性がさらに明らかになった。
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