研究概要 |
平成20年度は、計画に掲げた以下の5点を中心に研究を進めた。 1,体制的言説の形成研究。場として高等師範学校附属諸学校に注目した。実質的に普及モデルをつくりあげていたのは、小学校訓導協議会や『教育研究』(東京高等師範学校附属小学校)などの諸機関誌であった。協力者の一橋大学院生の大西公子がそれらを生み出す場の基礎研究とメディア分析を行って論文を教育史学会に提出した。さらに関係資料を収集した。 2,学校教育現場での教えるという行為に関する価値創出のペダゴジー研究。子どもに教える行為では教室が生み出したペダゴジーをどのように伝達、共有するかについての検討を連携研究者(吉村)が斉藤喜博を対象に研究会で報告し、それをまとめていくための基本的な確認をした。 3,教育研究運動のペダゴジー研究。生活綴方に関して、連携研究者(舩橋)が、木村と議論しながら個別にこれまでの研究の整理を進めた。 4,教育現場での教育学研究。これまでの知見も踏まえながら、東京帝大と東京文理科大学に注目し、帝大型と師範型の整理を行うと同時に、学説の成立過程ならびに教育メディアの伝達過程の検討を行った。東京文理科大学の検討を雑誌「教育学研究」を素材に進めた。東京高等師範学校と東京文理科大学との関係についての諸資料の収集検討などを進めた。 5,アカデミズムの研究機関と学校のペダゴジー環流にかかわる基礎研究。『教育学辞典』(城戸幡太郎他)の項目の研究を『教育辞典』(篠原助市)と比較して行うために整理を施した。上記に加えて、それを支える社会過程をトータルに捉えるマクロな社会変動研究の枠組みづくりについて基礎的な議論を進めた。
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