本研究は、閉塞する教育現実を克服するモデルとして、今日、世界的に注目される「シュタイナー教育」と「モンテッソーリ教育」をとりあげ、両者に共通する理論-実践の構造特徴を解明することを目的とする。平成20年度は、平成20年4月から12月にかけては、<神智学>を切り口として、<シュタイナー教育思想>と<モンテッソーリ教育思想>の理論上の連関を解明し、両思想に共通する教育原理を導き出すことに努めた。具体的には、まず、シュタイナー思想における神智学の位置づけをあきらかにするため、神智学的思想が反映されたシュタイナーの後期著作を考察した。つぎに、モンテッソーリ教育が受けた神智学の影響を解明するためには、インド滞在期以降の著作を、それ以前の著作と比較・検討しつつ考察した。さらに、平成21年度3月からはオーストラリアの南オーストラリア大学に客員研究員として赴任している。現在、共同研究者のトム・セリック博士とシュタイナー教育についての理論-実践の共同研究を進めている。また、アデレード大学の米山尚子講師から、日本の教育とシュタイナー教育に関心をもつマック・ウィルソン氏を紹介してもらい、彼と、マウントバーカーヴァルドルフスクールの共同調査をおこない、私の成果論文の校閲をしてもらった。成果は、今後、外国の学会誌か雑誌に投稿する予定である。
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