本年度は、R.シュタイナーとM.モンテッソーリの学校実践について、アンケート調査を進めるため、南オーストラリア大学のトム・スティリック博士とアデレード大学の米山尚子博士と共同研究を進めた。 具体的には、実践面では、アンケート用紙を完成させ、マウント・バーカーにあるシュタイナー派の学校であるマウント・バーカー・ヴァルドルフスクールの7年生から12年生と教師にアンケート調査を実施した。さらに、4年生から7年生と10年生と11年生に「日本文化と書道(Japanese Culture and Calligraphy)」という題で授業をした。 理論面では、シュタイナーとモンテッソーリの思想に共通する神智学に注目した英語論文A Theosophical Paradigm in Montessori Educational Thought : A Point of Contact with Steiner Educational Thoughtを完成させ、西日本応用倫理学研究会/広島大学応用倫理学プロジェクト研究センター研究報告書『ぷらくしすPRAXIS』(2010年度第12号、107-122頁)に掲載した。 世界的に注目されるシュタイナー教育とモンテッソーリ教育について、それらに共通する理論的・実践的エッセンスを導き出すことは、混迷する今日の教育現実に、有効な指針を示すことができるものと思われる。 現在、低学年向けのアンケートの簡易版を作成しており、来年度はこれを用いたアンケートをおこない、総合的なデータ解析を行う予定である。
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