本研究は、ジャンル・アプローチを基礎として、教室における各教科における子どもの作文をジャンルでとらえ、広い社会における言語活動と関連づけ、方向づける授業方法を開発することを目的としている。この目的を達成するために、最初に、ジャンル・アプローチの理論と方法の検討を行い、現代の作文指導法、伝統的作文指導法、教科を横断した作文指導法、との関連におけるジャンル・アプローチの特質を明らかにした。実際のジャンル作文の指導においては、読んだジャンルとの関連が深いことから、読むことと書くことの関連の理論的検討を行うとともに、教科書の文章のジャンルの分析を行った。その上で、国語科と理科においてジャンル・アプローチによる実証授業を行い、その分析を行った。まだ、不完全なところはあるのだが、全教科における作文指導の理論としてのジャンル・アプローチの意味、位置づけ、指導法を実施可能なところまでは、明確にしたという意味において、研究の目的は達成したように思う。
|