本研究の目的は、長崎大学教育学部に創出した「無限定性教室」を、長崎県に多数存在する複式学級における複式授業の視点からの有効性とその問題点を明らかにすることであった。 調査は、長崎大学教育学部の「無限定性教室」、長崎大学付属小学校の普通教室及び長崎県対馬市乙宮小学校の複式学級などを対象に実施した。 調査・分析結果を以下に示す。 1. ワークスペース(オープン)と普通教室とが組み合わされた教室が、複式学級においては多く存在していることが明らかになった。 2. 複式学級における複式授業には、基本的に、前面後面型と前面側面型(L型)の2タイプがあることが明らかになった。また、この2タイプに柔軟に対応できる意味でも「無限定性教室」は有効であることが明らかになった。 3. L型は、空きスペースがコーナーに存在しており、そこで、また「渡り」や「ずらし」が展開されていることから、L型が複式授業には有効であると考えられる。 3. 複式授業では、教室空間を2領域あるいは4領域に使い分けている。また、そこでも「動く」家具が使われている。従って、「動く」家具は、児童・生徒の自発的活動を創出する意味でも有効である。以上の調査結果から、「無限定性教室」及び「動く」家具は、複式授業においても有効であると結論付けられる。
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