平成22年度の研究実施計画で掲げた研究目標を以下のように推進した。 文献研究においては、日本YWCA機関誌『女子青年界』の大正期、昭和期(戦前期)の書誌的整理を進めることができ、誌面を通じての戦前の女性キリスト教者の知的形成のあり様を明らかにすることができた。一方、YWCAの重要な活動である市部YWCAの活動を明らかにしたいと考え、東京YWCAの機関誌『地の塩』の書誌的整理を行い、総目次のデータベース化を完成することができた。 ライスヒストリーの研究を通じて、女性キリスト者の文化貢献を明らかにする研究計画に関しては、研究協力者の堤稔子がハワイ調査を行い、木村雪子に関する足跡調査を推進することができた。大竹満洲子のバックグランド調査に関しては、福島調査を予定していたが、震災のため実施できず、次年度にまわすことになった。本年度は安井哲、大江すみの研究者として知られる柴沼晶子も研究会に加わり、女性キリスト者のライフヒストリーの比較検討を積極的に展開することができた。 人物に関する国内調査は不十分に終わったが、市部のYWCAの調査に関しては進めることができた。木村雪子が関わって創設された名古屋YWCAに関しては戦前の資料がないということで年史を取り寄せるに終わったが、大阪YWCAについては年史の収集とともにその活動の実態を現地にて調査することができた。これらの市部のYWCAの調査を通じて一般の婦人を対象としたYWCAの活動の実態を知ることができた。調査をしてみて、市部YWCAはそれぞれの特徴のある活動をしていたことも分かってきた。たとえば、大阪YWCAは夜間女学校を開設していたこと、名古屋YWCAは最初からインダストリーセンターとして発足し、有職婦人を対象とした組織であったことも明らかになった。これらの研究成果は年3回(6月25日、10月25日、2月25日)催した研究会で報告し、検討した。
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